本物のお姫様に
お母さんはタバコの箱を出す。


「やめて。タバコの匂いわたし嫌いなの知ってるでしょ」


そう言うとお母さんはわたしを睨んだ。

わたしの家なんだけど。

渋々タバコの箱をしまう。


「早く帰ってよ」


「わたし一応母親なんだけどー、あんたの」

「あんたの」を今日強調して言うお母さん。



「わたしはあなたのことを母親とは思ってない。」

きっぱりと言い切るわたしにフフッと笑ってわたしを見た。


「でも、あんたの体にはわたしの血も入ってるのよ」

そんなこと分かってる。


「自分が何したかわかってんの」

睨んで言うとため息をついて

「わかった。」

そう言って玄関に向かって歩いていった。

そして振り向いて


「また来るからね」

とタバコで黄ばんだ歯を見せて笑った。
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