本物のお姫様に
わたしはお父さんの顔を知らない。

母は根っからの男好き。

風俗店を経営していて、男に関して知らないことなどないと言う女だった。

朝帰りは当たり前。


そんな母がわたしは大嫌いだった。

だから家を出た。


わたしの事なんて二の次の母親なんて、わたしの母親じゃない。


――ピーンポーン

誰・・・?

悪いけど、今は出たくない。

ピンポン、ピンポン、ピンポン

連続でおしてやがる。


「うっさいなぁ!!」

玄関のドアを開けて驚く。

「悠馬・・・」


よっ、と手を挙げる。


「今、大丈夫か?」


大丈夫だけど、今は一人でいたい。


「ごめん。ちょっと」

「おまえの母さん、来てただろ?」

何で知ってんの?

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