不器用なあいつ




あたしの言葉の意味がわかったのか、ゆっくりと目を見開いていく拓海。

頬の染まるスピードさえもゆっくりだ。


目を逸らして、すぐにこっちを伺うようにチラッと見て、そして静かにはにかむように笑った。


「それだけじゃなくて、俺のことだけ考えて作ったものも欲しいな」

「調子乗ってんじゃないわよ」


小さく笑みを交わしながらの言葉遊び。

どれだけ冷たい言葉を投げかけても、笑みは止められなくて、愛しさってヤツがダダ漏れ。


戯れるような、軽いキスが何度も唇に落ちてきた。









< 9 / 14 >

この作品をシェア

pagetop