俺様一途ドンドコドンッ!

赤津が星香を連れて行って、静けさが戻っても、次が来る。

足音…

「 海翔くん見つけた!」

この声は嘉山 美鈴先輩か…

「 美鈴先輩がサボリ?」

「 そうよ?こんな時じゃないと、二人になれないでしょ、ね?」

寝っ転がる俺に股がる美鈴先輩が顔を近づけてくる。

男なら、キスくらい損得なしで受け入れるもんだろうな。

美鈴先輩も星香より派手ではないが、綺麗な清純に見えて、俺に股がるくらいの人だ。

やっぱり俺は愛弓がいい。

俺に勝手にキスしようとする美鈴先輩を肩から制止した。

「 美鈴先輩、寝込みは襲うもんじゃないだろ 」

「 あら、じゃあ 海翔くんからキスしてくれる?」

「 まさか、しないね 」

俺は体を起こし、美鈴先輩をよけて そのまま階段を降りて行った。

背中越しに美鈴先輩の声がしたが、俺にはどうでもいい。

サボリながらフラフラと保健室に入ると、ベッドに横になる。

愛弓の事をつい考える。

追いかけてばかりだったのをやめてみると、頭が少し冴える。

だが、冴えていてもベッドにいるだけで睡魔が俺を襲う。

夢見がちになっても、俺は夢の中でも愛弓を追いかけては逃がしている。

『 愛弓… なんで俺から逃げる!逃げるから追いたくなるんだよっ 』

愛弓は立ち止まり振り向いて、微笑みながら俺を抱きしめたんだ。

嬉しくて ギュッと抱き締めかえそうとしたが、愛弓は離れて行った。

『 愛弓? 抱きしめといて離れるな!愛弓、愛弓っ 』

その時、おでこに何かが触れて、俺はその手を掴んで引き寄せ抱きしめた。

愛弓だと思ったから。

「 愛弓… 」

「 赤津だけど?」

バチっと意識が目を冷ややかに覚ます。

「 あ、赤津? はっ!? 赤津っ!」

「 うん、赤津だけど?そんなに俺好きなわけ?」

なっ… 間違えた… 愛弓と赤津を…

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