北条くんの日常
「あ、クレープある」
目に止まったクレープのワゴン車に少し興味を惹かれた。
前には割と人がならんでいる。女子高生が多いなあ。
「食べる?結構有名みたいだよ、ここ」
高梨のその言葉に即決して、最後尾にならんだ。
順番が回ってくると、俺は、1番シンプルな生クリームチョコクレープをたのんだ。
「なにこれ!全部のせだって!!」
隣で高梨はメニューに目を輝かせている。
あ、まただよ。
ほんと、面倒だなあ、この気持ち。
これだけで、その目の輝きをみるのは俺だけのはずなのに、とか。
その気持ちはプカプカと曖昧に浮かんでいて、シャボン玉のように割ってしまえればいいのにとか思ってしまう。