北条くんの日常
12月24日火曜日
当日。
アラームより早く飛び起きて厨房に向かった。
姉の分と合わせて二つ分スポンジを焼く。
仕込んでおいたチキンをローストする。
焼きあがったスポンジをきって姉の分には爽やかなチーズのクリームを塗ってシンプルに完成させ、すぐ箱にしまって冷蔵庫へいれた。
もう一つはイチゴのクリームとチーズのクリームを重ねて、二色でデコレーションした。砂糖で作ったサンタを乗せて。
「お、やってるやってる」
寝起きのままの姉が覗いてきて、ふむふむと頷いた。
「美味しそー、これあたしの?」
「違うよ、高梨の。姉貴のはもう冷蔵庫」
「へぇーみてみよー」
「あ、ダメダメ!食べる時のお楽しみ!」
うまく言いくるめてケーキから遠ざける。
「ちぇー」
背中をボリボリとかきながら、姉貴は準備する、といって厨房から出て行った。