高梨さんの日常
のち曇り。
ずっと前のことを思い出していた。
よく河原で四人、手をつないで歩いたこと。
はしゃぎ回る私たちを微笑んで見ていた人たち。
家に帰れば、あったかいご飯が待っていて。
無邪気に頬張っていた自分。
そこまで考えて、隣の人を盗み見る。
黒板を退屈そうに眺めるその様子に、思わず微笑みそうになる。
ダメだって。
緩みかけた頬を元の位置にもどして、胸元に光るネックレスをいじりながら空を見上げる。
メニュー
のち曇り。