高梨さんの日常
「うわああああ」
「えええええええ」
「なんでこうなるのおおお」
調理室にお姉さんの声が響き渡る。
どうやら、私が思っていたより、随分不器用だったみたいだ。
チョコレートのトリュフを作るのに、チョコを直火にかけてしまったり、生クリームを沸騰させてしまったり、手こずっている。
「ツカサが一番簡単だよって言ってくれたやつなのに…」
お姉さんは、若干落ち込み気味でそう呟く。
「高梨ちゃんはできてる?」
「はい、なんと「ええええええええ!!!」
なんとか、と答えようとしたところで、お姉さんの声がまた響く。
「やばいめっちゃ美味しそう!!いいな!いいな!」
「味見の一口いります…?」
「ほんと??わあい!!!あ、じゃあ私のも食べて見て!」
両手をあげて喜んで、お姉さんと私で作ったものを交換した。
「んー!!美味しい!!これはイケる!!」
私のを食べて、そう言ってくれた。
嬉しくて、むずがゆい。