高梨さんの日常




「ありがとう」

そう言って、今度は目一杯の笑顔をみせた。


「北条のおかげ」

「……なにが?」

いつもは即座に変わっていたけど、そのままの笑顔でそう言ってくるから、惚けてしまって、数拍おいて、答えた。



「わたし、変われた」


カチャン。

近づいてきたと思うと柔らかく包まれて、思わずフォークを落とす。


「ありがとう、話すと長くなるんだけど、聞いてくれる?」


コクリ、と頷いて、その状態のまま、俺は高梨の話に耳を傾けた。



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