ロゼ【実話】
突然 ロゼが頭を持ち上げ、しっかりとした瞳で叔父を見た。
焦点の定まらなかった瞳とは違い、確かにロゼは叔父を見ていた。
「クゥン…」鳴く。
それはまるで
「ありがとう」と言っているようで。
だけど
ロゼは最後まで私を見なかった。
誰よりも喜んでくれたのに
ロゼの一番好きな人間は私だと、勝手に自惚れていたのに
私はロゼをこんなにも好きなのに
君は、分かっていたんだね。
誰にお礼を言うべきか。
誰に一番お世話になったか。
君は分かっていたんだよね。