ロゼ【実話】
そんなロゼが、おかしいと言う。
父の声色は真剣で、私の心臓はビクンと跳ねた。
そんな気持ちを悟られないよう、私は平然とした態度で、何がおかしいのか訊き返す。
父の話によると、ロゼはせわしなく走り回っているという。
何かを追い掛けるように、家中を走り回っていると。
それが、私には
死に場所を探しているようにしか思えなかった。
死ぬ間際になると姿を消すのは猫だけだと思っていたけれど。
私には、そう思えてならなかった。