ウィリアム&マリアシリーズ1『アーヴィング家遺産争奪戦』
少女は、恐る恐るウィリアムの肩に指を触れた。
剥き出しになった傷口を見て、思わず顔をそらしてしまった。
丸く開いた穴は、小さいとはいえ、血で塞がっていて、ドクドクと脈打ちながら血液を溢れさせている。
痛そう……。
あたしなんかより、ずっと。
なのにどうして、平静でいられるんだろう……。
「ボーっとしてないで、早く」
「あっ…ご、ごめん」
手が震えてやりづらかったが、なんとか巻くことができた。
「サンキュ。なかなかうまいじゃないか」
「母さんが、看護士だったから……」
ウィリアムは、まずいことを聞いたかな、という顔をしながら、新しいシャツに着替えた。
大きく1つ息を吐いて、切り出した。
「じゃ、本題に入る前に、自己紹介といこうか」
剥き出しになった傷口を見て、思わず顔をそらしてしまった。
丸く開いた穴は、小さいとはいえ、血で塞がっていて、ドクドクと脈打ちながら血液を溢れさせている。
痛そう……。
あたしなんかより、ずっと。
なのにどうして、平静でいられるんだろう……。
「ボーっとしてないで、早く」
「あっ…ご、ごめん」
手が震えてやりづらかったが、なんとか巻くことができた。
「サンキュ。なかなかうまいじゃないか」
「母さんが、看護士だったから……」
ウィリアムは、まずいことを聞いたかな、という顔をしながら、新しいシャツに着替えた。
大きく1つ息を吐いて、切り出した。
「じゃ、本題に入る前に、自己紹介といこうか」