ウィリアム&マリアシリーズ1『アーヴィング家遺産争奪戦』
「マリア!よく聞いてろ!これから運転がもっと危なくなるから、しっかり座席に掴まってろ!くれぐれもフロントから前に飛んでいくなよ!」

「な、何するの!?」

ウィリアムはマリアの問いには答えず、グレネード・ランチャーを握り直した。

弾は1発限り。

失敗したら、終わりだ。



狙いは、敵の車の前タイヤ。



ウィリアムは素早く後ろを向くと、めいっぱい腕を伸ばしてタイヤに照準を合わせた。

トリガーを引く。

ボシュッ



弾は僅かに放物線を描いて、確かに目標に命中した。

ドン!

爆発。

オレンジ色の閃光と、黒い煙。

重そうな車体が浮き上がった。

ギャギャギギャギャ

タイヤが鳴く。

速度を出しすぎていた敵の車は、つんのめるようにして、右に曲がっていった。

そして、追突。

炎上。
< 38 / 59 >

この作品をシェア

pagetop