ウィリアム&マリアシリーズ1『アーヴィング家遺産争奪戦』
「さーて、逃げるぞ」
ウィリアムは前方を睨みながら、独り言のように言った。
マリアは、ウィリアムの横顔を見た。
そして、夏物の白いシャツから透ける、逞しい腕を見た。
何やってんだろ、あたし。こんなときに…
ウィリアムに見えないように、赤くなった顔を背けた。
ギュルン、とタイヤが音を立てながら、車が急カーブする。
マリアは運転席に飛ばされそうになって、シートベルトを握りしめた。
ボロボロになった車で、細い道を駆け抜ける。
たまにこすれて火花が散った。
何度も角を曲がり、105号線からかなり離れたころ、ウィリアムはやっとブレーキを踏んだ。
ウィリアムは前方を睨みながら、独り言のように言った。
マリアは、ウィリアムの横顔を見た。
そして、夏物の白いシャツから透ける、逞しい腕を見た。
何やってんだろ、あたし。こんなときに…
ウィリアムに見えないように、赤くなった顔を背けた。
ギュルン、とタイヤが音を立てながら、車が急カーブする。
マリアは運転席に飛ばされそうになって、シートベルトを握りしめた。
ボロボロになった車で、細い道を駆け抜ける。
たまにこすれて火花が散った。
何度も角を曲がり、105号線からかなり離れたころ、ウィリアムはやっとブレーキを踏んだ。