ウィリアム&マリアシリーズ1『アーヴィング家遺産争奪戦』
あ、しまった。先月の家賃をまだ払ってない。まずいな、次の依頼も無いし。

ウィリアムはシャツの袖をまくりあげ、空を仰ぎ見る。

雲一つない晴天。

平和そのものだ。

ま、ひと仕事終わったことだし、ビールでも飲みに行くか。



大通りは、ウィリアムの事務所の面した通りとはけた違いに賑やかだ。

陽気に誘われて、たくさんの買い物客やカップルが、お洒落なインテリア・ショップやスーパーに訪れている。

車もたくさん行き交っている。

きれいに舗装された広い車道の両側に、きちんと敷き詰められたレンガ道。

モスグリーンのハイセンスな街灯が、等間隔に並んでいる。

「このロクデナシ!!!!」
突然、少女の叫び声が響き渡った。

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