ウィリアム&マリアシリーズ1『アーヴィング家遺産争奪戦』
「ねぇ、この人なんなの?どこに居るの?」

マリアはウィリアムのシャツをくいくいっと引っ張って、頬を膨らませた。

「あぁ、こいつか?こいつは情報屋。何でも知ってる」

「答えになってないわよ。なんで声だけなの?」

「声しかないからさ。

グリーフは世界中のあらゆるネットワーク・システムに自由にアクセスできる、最強のプログラムなんだ。

誰が設計したか知らんが、グリーフは勝手に自分を“哀しみ”と名づけて、自我を持った。

ここはこいつの中継地点の1つにすぎない。探せば世界中にゴマンと存在する。

もちろん、呼び出せば俺のコンピュータにも入り込んでくるぜ」
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