ウィリアム&マリアシリーズ1『アーヴィング家遺産争奪戦』
地上に出ると、太陽は傾いて、オレンジ色の光は、周囲のものに長い影をつくり出していた。

グリーフに言われた場所に行くと、ゴツいワゴン車のような白い車と、1人の男がいた。

その男は、手にしていたタバコをアスファルトに投げ捨て、靴で踏みにじった。

そして、不機嫌そうな顔で2人を見た。

「あんたらが、グリーフの言ってた人間か」

「そうだが……。ドライバーてのは、あんたか?」

「ああ。俺はエドモンド・フジカワという」

「俺はウィリアム、こいつはマリアだ」

彼は、褐色の肌に黒い直毛だった。瞳も黒い。

白い半袖のTシャツからは、はちきれそうなほど、鍛え上げられた腕が伸びている。

エドモンドは、ワゴンの運転席を開けながら、乗れ、と言った。
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