君に恋していいですか?
3月の出来事。
支社長に話しをする時間を貰えたのは3月も半ばになった頃。
「ウチとしては君にはまだ暫く居てもらいたいんだが。」
「ですが…営業成績も右肩上がりですし、僕の後継も育っています。三枝なら課を引っ張る力も充分有ります。」
なんとか4月から本社に復帰したい。
…そう支社長に願い出た。
その理由も包み隠さず全て話した。
「妻が妊娠しているかもしれないんです。遠くに離れていて何かあったらと心配なんです。」
そう言うと支社長は苦笑いした。
「神山君は愛妻家なんだな。
…わかったよ。4月から本社に戻る手続きをしよう。
その代わり、後少しの間で三枝の他にあと1人、育ててもらおうか。」
…なんて無理難題を。
「分かりました。三枝はすでに1人で広報を回してます。
彼のバックアップを出来る人物をひとり育てます。」
さて、誰を当てようか。
「君の力、私は買ってるんだよ。
是非見させていただこう。」
軽く頭を下げて社長室を出る。
広報のメンバーで…三枝以外にデータ収集に長けた奴が居たな。
田村翠。
彼女を育ててみよう。
彼女なら三枝の右腕にもってこいだ。
デスクに戻り、席に着くなり三枝を呼ぶ。
「三枝。」
「はい!」
三枝 裕章は30歳。どことなく伊島に雰囲気が似ていて、最初に会った時にすぐ彼を育ててみようと決めた。
思った通りの奴で。
メキメキと頭角を現した。
思った以上に頭の回転が速く、俺の言わんとすることをキッチリ先読み出来るほどになった。
彼にならこの支社の広報を任せられる。
そう判断して年明けからほぼ全ての事を奴に回させていたくらいだ。
「なんでしょうか、神山部長。」
「お前の補佐に田村を推すつもりなんだが、どうだろう。」
真っ直ぐに目を見て問いかける。
暫く考えてから三枝はフッと表情を緩めて俺を見た。
「神山さんがそう俺に聞くって時点で決定ですよね。了解です。田村はOKしたんですか?」
「いや、今からだ。お前ならそう言うと思ってたよ。
田村!」
少し離れたデスクに座る田村を呼ぶ。
彼女は不思議そうな顔をしたものの、すぐに立ち上がり近づいて来た。
「なんでしょうか?」
「今日から三枝の補佐についてもらう。彼に必要なデータや資料を適切に渡してやってくれ。
その他は三枝の支持に従ってくれ。
何かあればその都度指導する。」
そう言うとにっこりと笑い、頷いた。
「分かりました。三枝くん、よろしくね。」
田村は詩織より2つ上の24歳。
パソコンスキルが高くとにかく資料を作らせると右に出るものは本社にもいない。
出来るならこの2人を本社に引き抜きたいくらいだ。
「神山部長、本社に帰るんですか?」
田村が不意にそう問いかけたので、にっこりと笑い頷いた。
「新婚さんですもんね。奥様、すごく美人だって聞きました。
かなり年の差あるんですよね?」
あまりプライベートを話してはいないのに、何故そこまで知ってるんだろう。
「美人というより可愛いんだよ。15離れてる。よくまぁこんなオッさんに嫁いでくれたもんだと思うよ。」
本当に。詩織なら年の近いオトコだって有りだっただろうに。
「惚れた弱みなのかな。離れていたら辛くて堪らないんだよ。」
それは本音。早く一緒に生活したい。
「本社に帰る時は送別会しましょうね。」
バチん、と綺麗にウインクされて、一瞬驚いた。
田村ってそんな感じの奴だったんだな。
「ウチとしては君にはまだ暫く居てもらいたいんだが。」
「ですが…営業成績も右肩上がりですし、僕の後継も育っています。三枝なら課を引っ張る力も充分有ります。」
なんとか4月から本社に復帰したい。
…そう支社長に願い出た。
その理由も包み隠さず全て話した。
「妻が妊娠しているかもしれないんです。遠くに離れていて何かあったらと心配なんです。」
そう言うと支社長は苦笑いした。
「神山君は愛妻家なんだな。
…わかったよ。4月から本社に戻る手続きをしよう。
その代わり、後少しの間で三枝の他にあと1人、育ててもらおうか。」
…なんて無理難題を。
「分かりました。三枝はすでに1人で広報を回してます。
彼のバックアップを出来る人物をひとり育てます。」
さて、誰を当てようか。
「君の力、私は買ってるんだよ。
是非見させていただこう。」
軽く頭を下げて社長室を出る。
広報のメンバーで…三枝以外にデータ収集に長けた奴が居たな。
田村翠。
彼女を育ててみよう。
彼女なら三枝の右腕にもってこいだ。
デスクに戻り、席に着くなり三枝を呼ぶ。
「三枝。」
「はい!」
三枝 裕章は30歳。どことなく伊島に雰囲気が似ていて、最初に会った時にすぐ彼を育ててみようと決めた。
思った通りの奴で。
メキメキと頭角を現した。
思った以上に頭の回転が速く、俺の言わんとすることをキッチリ先読み出来るほどになった。
彼にならこの支社の広報を任せられる。
そう判断して年明けからほぼ全ての事を奴に回させていたくらいだ。
「なんでしょうか、神山部長。」
「お前の補佐に田村を推すつもりなんだが、どうだろう。」
真っ直ぐに目を見て問いかける。
暫く考えてから三枝はフッと表情を緩めて俺を見た。
「神山さんがそう俺に聞くって時点で決定ですよね。了解です。田村はOKしたんですか?」
「いや、今からだ。お前ならそう言うと思ってたよ。
田村!」
少し離れたデスクに座る田村を呼ぶ。
彼女は不思議そうな顔をしたものの、すぐに立ち上がり近づいて来た。
「なんでしょうか?」
「今日から三枝の補佐についてもらう。彼に必要なデータや資料を適切に渡してやってくれ。
その他は三枝の支持に従ってくれ。
何かあればその都度指導する。」
そう言うとにっこりと笑い、頷いた。
「分かりました。三枝くん、よろしくね。」
田村は詩織より2つ上の24歳。
パソコンスキルが高くとにかく資料を作らせると右に出るものは本社にもいない。
出来るならこの2人を本社に引き抜きたいくらいだ。
「神山部長、本社に帰るんですか?」
田村が不意にそう問いかけたので、にっこりと笑い頷いた。
「新婚さんですもんね。奥様、すごく美人だって聞きました。
かなり年の差あるんですよね?」
あまりプライベートを話してはいないのに、何故そこまで知ってるんだろう。
「美人というより可愛いんだよ。15離れてる。よくまぁこんなオッさんに嫁いでくれたもんだと思うよ。」
本当に。詩織なら年の近いオトコだって有りだっただろうに。
「惚れた弱みなのかな。離れていたら辛くて堪らないんだよ。」
それは本音。早く一緒に生活したい。
「本社に帰る時は送別会しましょうね。」
バチん、と綺麗にウインクされて、一瞬驚いた。
田村ってそんな感じの奴だったんだな。