君に恋していいですか?
5月の出来事。
連休2日目。


やることもなくぼんやりしていた俺の携帯が鳴る。


妹からの電話だ。



「もしもし」

【あ、祐太朗?あたし。】

年下のクセに相変わらず横柄な態度だ。

「わかってるよ、登録してあるんだから。なんだよ咲、なんか用か?」



咲からの連絡はいつも決まって同じ内容だ。



【祐太朗暇なんでしょ、買い物付き合ってよ。荷物持ちー!】



…俺はお前の執事か。



「確かに暇だがな、お前の買い物は付き合いきれん。」



今年30になる妹だが、バリバリのキャリアウーマンで、未だ独身。


見た目は一見女優のようにも見え、実際学生時代にモデルをやっていた。


ただ性格が如何せん男前で、咲について来れる男がなかなか現れないのが現状だ。



兄妹して、縁がない。




【そこをなんとか!あ、祐太朗にも何か買ってあげるから!】



物で釣るな、物で。


「仕方ないな、じゃあ服でも買ってもらうかな。今から行けばいいのか?」

【助かるー‼︎待ってるね!】



勢い良く通話を切られ、なんとなくどっと疲れてしまった。


この勢いのまま、買い物をし、喋り、たべる。
そんな妹に頭が上がらない不甲斐ない兄であることは、みんなには内緒だ。



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