君に恋していいですか?
会社から近い居酒屋で親睦会を開くことになっていた。
仕事が終わり、みんなで移動して座敷に座る。


「じゃあ、今日は親睦会ということなので、年の差、地位など気にせず無礼講といきましょう!

題して【神山課長を丸裸にしよう】の会!


かんぱ〜い‼︎」




「な!なんだよ、そのサブタイトルみたいなやつは!丸裸って脱がねぇぞ、俺は!」




ひとりだけ音頭に合わせず反論してみたが、誰1人聞く耳持たず笑っていた。




脱ぐもんか。



アホじゃあるまいし。



「いやー、近付き難い課長が実はフレンドリーな性格だって教えてくれたの、池永なんですよー。」




伊島がビール片手にヘラヘラと言う。



…池永〜‼︎



睨むとふわふわと笑うのだから、力が抜ける。




「いやマジですよ!課長、妻帯者だってウワサだったから、飲み会とか参加しないのかと思ってたんすよー?」


山野井の言葉にガックリする。




「みんな俺を嫁持ちだと思ってたのか。」



6人が6人とも大きく頷く。

はぁ、なんでだよ。独身なのにさ。



「睨まれてるんじゃないかって怖かったから、なかなか相談とかできなかったんです。」


菊池が恐々とそう言う。

目付き悪いから印象も悪いんだよな、俺。



「すまん、睨んでるつもりはないんだ。」



笑いながら言うと、その場がシンとした。




「どうした?」



不思議に思い問いかけると。



「課長、イケメンすぎ!」
「男の俺でも一瞬ドキッとしたじゃないっすか!」
「いやー、そのスマイルで数々の女をオトしたんですね!」
「罪作りー‼︎」


何故か男どものテンションが上がっていた。




「課長の笑顔が素敵だからですよ。」


正面に座っていた池永からそっと話しかけられた。




「普通だと思うんだが…」


「咲さんと一緒に居た課長、絵になってました。美男美女で。」


「咲さんって誰ー?」



畑中から突っ込まれ、池永が妹さんなんですよ、と先日の話を皆にし始めた。



話が終わる頃には、俺のイメージが180度変わったのは言うまでもない。




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