君に恋していいですか?
つい、イタズラ心がやったこと。




それは、毎日楽しみにしていた夜のメールに返事をしなかった。





【お忙しいですか?】


【もうお休みになってるんですね。】



そう立て続けに池永からメールが来て。



でも、なんか癪に障っていて無視した。



胸の中にモヤモヤしたものが更に膨らむ。


俺はどうしたいんだ。


今までメールも連絡すらもしたことがなくて当たり前だった関係。



元に戻っただけなのに、何故か喪失感。



素直に【相談って何だ?】って聞けばいいだけなのに。



素直になれないいい歳した大人。

救えない。



ソファに深く座り込み、頭を抱える。



それから、スマホを手に取り返信を打つ。



【すまない、手が離せなかっただけで寝てはないよ。】




とりあえずそれだけで送信。



すぐに返事が返ってくる。


【すみません、お邪魔してしまいましたか?】


…いや、お前のこと考えてたんだよ。


なんて言えない。



【いや、邪魔なんかじゃないよ。心配いらない。】


【今日は沢山メールしてますね。】

【そうだな。会社ではあまり喋らないけどな。池永は無口だから。】


【え、課長の方が無口ですよ。】

【お互い様なのかもな。今日も弁当ありがとう。たまには俺が奢ろうか。昼飯だとみんなの注目浴びそうだから、夕食でもどうだ?】



さり気なく誘ってみる。
乗ってこなければ、それまで。




【いいんですか?わたしだけ?】



【弁当の御礼だと言わなかったか?】



すると、ピタリとメールが止まった。
何か不味いこと言ったかな。

…いや、当たり障りない会話だよな。



そのまま、返事が来ないまま。


夜は更けて、朝が来た。



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