君に恋していいですか?
一週間の終わり。



もう7月になるんだな、とカレンダーを見て思う。


7月は俺の誕生月。



またひとつ歳を重ねる。



薄っぺらいままの俺を何枚重ねても。たいしたものになりはしない。



咲の言うように、自分の内面にもう少し目を向けなければ。



池永の一挙手一投足に振り回されてばかりいては、何もならない。



「課長」


書類を片手に彼女が目の前に立つ。



「なんだ?」

「あの、この書類確認お願いします」



手渡された仕事の書類。



ペラペラとめくり、内容確認をする。


「ここ、データ間違えてる。見間違いと打ち間違いだけは気をつけないと、先方に良くないイメージを与えてしまうから気を付けるように。」




なるべく普通に言ったつもり。




…だったが、彼女には違ったようだ。

目付きのせいか。



声の低さが威圧感になったのか。


「すみません…」



小さな声で謝罪すると、書類を胸に自分のデスクへと帰る。



…すまん、言い方キツかったか。




そう言やぁいいのに、言えなかった。


なんでだか、言えなかった。



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