君に恋していいですか?
1日中モヤモヤとしていた。



どうして?


ただそれだけを考えていた。


仕事をしながら考えていた。



池永はいつもと変わらない態度だ。
今も定時で上がるために片付けをしている。菊池と雑談しながら手を動かしている。



(なんなんだよ、俺だけが悩んでるのかよ…)



そう思うと自分が馬鹿みたいに思えてきた。



(返そう。貰えない、気持ちのないプレゼントなんて。)



そう決めてスマホを取り出す。



メッセージを送ると自分でも意識していないのにため息をついていた。


「課長、どうしたんすか?頭でも痛いんですか?」



あまりのため息にビックリしたのか、伊島がそう話しかけてきた。



「あ、いや、すまない。頭痛じゃないんだ。気にしないでくれ。」



言っているはしからため息が漏れる。



「課長らしくないですよ。どうしたんすか?」



覗き込むように俺の顔を見る伊島。



真っ直ぐで…曇りのない目だ。



「少しな、悩みがあるだけなんだ。もう少し若ければ悩まずに済むんだろうな…。」



自嘲気味にそう言うと、薄く笑う。


「恋愛ですか?」


小さな声でそう真面目に言ってくる伊島は、俺より経験豊富そうだな。




「不器用すぎてな。こんな歳だと後を考えてしまうんだよ、ははは…」



力なく笑う俺の肩を掴んで伊島は小さな声で続けた。



「相談、乗りますよ。真面目に。」



真っ直ぐな目のこいつになら話してみてもいいかもしれない。


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