君に恋していいですか?
以前行った居酒屋に、伊島と2人訪れる。


カウンターにあえて座り、周りの雑音に紛れるようにぽつりぽつりと俺は話した。



「不器用っすね、課長。なんかこう…もっと自分に素直になったらどうっすか?」



相手の名前は伏せたまま話すと、まず最初にそう言われた。


素直にねぇ…。

一体どうやれば『素直』なんだ?



「その彼女も、割りかし鈍感ですよね、男慣れしてないっつーか。
でも、誕生日にプレゼントって意味深ですよ。」


「だろ?俺もこれは脈ありかと思ったんだけどな…今日の態度見てたら、ありゃ違うな。」




「見てた?…ってうちの会社の女の子ですか、その子。」



…しまった!余計な事を…。



「ま、課長らしいっちゃーらしいですよ。冒険なんかしなさそうだし。
菊池は彼氏持ちだし、池永も確か彼氏持ちだったよな、じゃあうちの課じゃねぇのか。」



ぶつくさ言う伊島の言葉にハラハラしながらも、誤魔化す。


そんな時、スマホが震えた。




「すまん、メッセージが来たみたいだ。」


タップして読む。



【お話ってなんでしょうか?】



池永からのメッセージだ。



話せるんだろうか。




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