君に恋していいですか?
「プレゼント」



言わなきゃ。



男だろう、俺!


「ありがとう。めちゃくちゃ嬉しかったよ。」

危うく噛むとこだった。


緊張しすぎ、俺。


「だけどさ、何で知ってた?俺の誕生日。何で知ってた?俺が腕時計、買い替えたかった事。」


池永に一歩近づく。


「あの腕時計に込められた想いは何?」



振り向かない彼女の腕を引き、強引に振り向かせる。


「好きになっちゃいけない人を好きになったんじゃなかったのか?」


俯いて顔を上げない彼女の顔を、どうしても上向かせたくて。


「詩織。」


初めて名前を呼んでみた。



ハッとした表情の池永が、顔を上げる。


「好きになっちゃいけない人って誰だ?」


両腕を掴み、諭すように聞く。


頼む。他の男の名前を言わないでくれ!


「それは…」


「俺?」


そう尋ねると、ぼろり、と涙が落ちた。

涙を零しながら頷く池永を抱きしめようと掴んでいた手を離すと、俺が引き寄せるより先に彼女が飛び込んできた。



…俺の胸に。



「俺?マジで?」



自分で聞いておきながら、信じられなかった。


夢を見てるような気分だった。


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