君に恋していいですか?
そんなこんなで、緩みっぱなしの俺を見て伊島が「なんだかんだ言いながら上手く行ったんですね、おめでとうございます。」なんて言う始末で。



どうにも緩む顔は戻せそうになかった。



「で、課長。噂の彼女ってどこの誰なんですか。」


昼休み、社食に行かず詩織のお手製弁当をデスクで食べていたら。



「オレ、聞く権利ありますよねぇ。」


伊島がニヤリと笑う。
こいつ。

自分のアドバイスがよかったからとか言いたいんだろうか。


…確かにその通りなんだが。


「お前の口が固いなら言うけどな。言ったが最後、1分で社内に広まりそうだから言わない。」



そう告げて再び箸を動かす。


卵焼き。相変わらず美味い。


「弁当の中身、池永と同じですね。」


「‼︎」


危うく喉に詰まらせるとこだった。


「オレの読み、当たりでしょ。課長分かり易すぎます。見つめ過ぎ、はははは!」



図星でアワアワしていたら、豪快に笑われた。


そんなに分かりやすいか、俺は。


「池永も幸せーって顔してるし。いいんじゃないですか。」



ニカッと笑うヤツをちらりと睨む。


「伊島、誰にも言うなよ。」


「了解です。」



そう言いながら手を差し出す。


「口止め料」


手のひらをバシン!と叩き拳を伊島の胸に当てる。



「サンキューな。」


そう言った俺に伊島は嬉しそうに笑った。

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