君に恋していいですか?
「か…か…課長、あの」


目の前で頼んでいた書類を持ち、しどろもどろな池永。



…こいつ。





やっぱり俺の名前覚えてないな。




「か…って何だ。」



受け取りながら突っ込んでみる。
覚えてないだろうなとは思っていたけど…実際に直面するとキツいな。




「すみません…」




そんなにキツい言い方はしてないつもりだったが、どうやら本人には厳しかったらしい。




「神山だよ、覚えとけ。」



書類でポン、と頭を軽く叩いて名前を教える。

あくまでも押し付けでなく、さり気なく。




「すみません…私、名前を覚えるのが苦手で…」




俯いた池永がぼそりと呟く。



…いや、名前だけじゃないだろ。




心の中でツッコミながらも彼女の素直な言い訳に頬が緩んだ。



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