君に恋していいですか?
支店は遠方・九州だ。



ここからだと、簡単に遊びに行けるような距離ではない。



だから、月イチ・2泊での休暇を詩織の元に戻って過ごす約束をした。



何度も飽きることなく抱いた。


忘れないように、身体に刻みつけておきたかったからだ。




マンションはそのままにしておき、詩織に管理してもらう事にした。





そして。




別れの日。



「ここでいいよ。見送られたら辛いし。」

マンションの玄関先で振り返った俺は詩織にそう告げた。



今にも泣き出しそうな顔をしている詩織を1度抱き寄せる。



「行ってくる。」


見上げてくる彼女の目には涙が浮かんでくる。


「電話していい?」


「あぁ。」


「メールも?」


「もちろん。」



スリスリと頬を寄せてくる彼女が愛おしくて堪らない。



「待ってるから。」

「待ってろ。必ず帰ってくるから。」



そう言って身体を離すと、しばらく出来なくなるキスを味わう。



「笑ってろ。泣くなよ?」


そう言って頭をポン、と撫でると詩織は満面の笑みで涙を落とした。



「いってらっしゃい!祐太朗さん!」


「行ってくる。」



さよならはいらないから。


笑顔でそう告げた。



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