君に恋していいですか?
世の中がGWに浮かれ始める月末。




世間と同じ、というか、カレンダー通りの仕事をこなす俺は相変わらず何の予定もない、寂しいGW。




だからと言って焦る事もない俺は終わってるのかもしれない。




「課長は何か予定されてるんですか?奥さんと旅行、とか?」




同じ広報課の伊島 智(いじま さとし)からそう尋ねられた俺は、多分かなり間抜けな顔をしていたと思う。




「奥さん?」




「あれ?課長って、既婚でしたよね?」




…いつから俺は妻帯者になったんだ。





「独身だが。離婚歴もないぞ。」


「え⁉︎あれ⁉︎俺、課長は既婚だってききましたよ?」


驚いたように言う伊島に俺は言いたい。







嫌味か。






「結婚なんかしたことないんだがな。誰だよ、デタラメいう奴。」



したいと思った事すらないっていうのにな。



「あれー?俺誰に聞いたんだっけ?でも確かにそう聞いたんですよ、なぁ。」




伊島は後ろのデスクに居た畑中 健吾(はたなか けんご)に話しかけ、同意を求めた。




「オレも聞きましたよ、確か秘書課の沢田さんに。」




…おいおい。秘書課は嘘やデタラメを流す課なのか?





「どちらにせよ、GW中も何の予定もない寂しい独り者なんだよ。実際は。お前らみたいに彼女とデートだの、旅行だの、予定があるやつが羨ましいよ。」




一週間休みがあると、何したらいいのかわからなくなるんだよな。





「今度合コンする時、課長参加してくださいよ!」



いきなりの話について行けず、圧倒されてつい「あぁ」と曖昧な返事をしてしまった。





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