君に恋していいですか?
「で?咲たちを誘ってどこに?」


そう訪ねただけなのに、華やかにぱあっと笑顔になる詩織。

「どこがいいかなぁ、咲さんに聞いてみてもいい?」

「あぁ。」


ぎゅうっと抱きしめたくなる衝動に駆られて詩織の身体を引き寄せた。


「その代わり。
前に咲がくれたアレ。着ておいで。」

「え…今から?アレを着るの?」

「みんなで出掛けたいんだよな?俺は詩織と二人きりがいいんだけど、お前が咲達もって言うんだぞ?」


ニヤリと笑うと真っ赤になった詩織は小さな声で「意地悪…」と言いながら、寝室へ消えた。



それは俺と詩織が初めて結ばれたあの日。咲がイタズラ半分にくれたお楽しみ袋に入っていたもの。


…セクシーランジェリーだ。


詩織は嫌だ嫌だで1度も着てくれたことがない。

そりゃ嫌がるだろう。

身につけている意味なんて殆どないようなものだから。

個人的にはかなり…クるものがあるんだけどな。



カチャリ、とドアの開く音がして振り向くと。


部屋から顔だけを覗かせて真っ赤になっている詩織。


「出ておいで。」


「嫌…無理…です。」


着てくれただけで良しとするか。
そうやって俺の気持ちに応えようとしてくれるだけで、愛おしさが溢れ出す。


立ち上がり寝室へ向かうと、サッと身を隠してしまった。

ベッドの上でミノムシみたいだ。


「しーおーり。出てくれなきゃ着た意味がないだろ?」

淵に腰掛け、ミノムシになっている詩織を撫でる。


「恥ずかしいっ、咲さんの意地悪!祐太朗さんのエッチ!もうやだー。」


若いんだからまだ許されると思うんだけどな。


こうやって、二人きりで楽しむのも久しぶりだからかな。
なんかこう…くすぐったい気持ちになってくる。


こんなに可愛かったかな、詩織。

もっと大人のオンナって感じじゃなかったかなぁ。



「じゃあ、見せないまま脱ぐ?どっちでもいいよ、俺は。」



そう言うとバッとシーツを脱いで現れた彼女は。


すごい勢いで俺に抱きついた。


「こんなの、祐太朗さんにしか見せないんだからっ!よく見てね、もう着ないかもしれないしっ。」


悔しいのだろうか。


こういう負けん気の強いところ、好きだな。


「よく見せて。」


腕を取って立ち上がらせると。



まるで妖精みたいに見える白い肌に白いレースの下着。


ふわふわの長い髪が揺れて。


心ごと持って行かれた気がした。


< 75 / 110 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop