君に恋していいですか?
咲と琢磨がやってきて、みんなでお酒を飲みながら楽しく会話する。


新しく増える家族。


そんな構図に、なぜか顔がにやけた。


「わ…雪降ってる…」


後片付けをしていた詩織が、ふと窓の外を眺めると、一面銀世界に覆われていた。


「クリスマスじゃないけど雪が降るとテンション上がるよね。」


咲がそう言うと、詩織が大きく頷いた。


「男にはよくわからない心理だな。雪なんか降ったら車出せないな、とか交通機関麻痺しないかな、とかさ。そういうのしか思い浮かばないよ。」

正直な気持ちを言うと、詩織がクスリと笑った。


「雪、好きじゃないんですか?」


…考えたことなかった。

好きとか嫌いとか。


…恋愛ですら今まで好き嫌いを考えたことなかった奴なのに。



「寒いのは好きだよ。
寄り添って暖め合う、いい季節だよな。」


「祐太朗が言うとエロく聞こえるのは何故〜。」


茶化すように言う咲は隣に立つ琢磨に抱きついている。


「お前に言われたくないわ。
今年は…今まで生きてきた中で一番充実してたな。
…詩織を意識し始めてからは、もう、会社に行くのが何よりも楽しみだったしな。」


「意地悪ばかりしてましたよね?祐太朗さんってば。」



…意地悪じゃない。



虐めたくなるんだよ、お前が可愛いから。



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