君に恋していいですか?
九州に帰る前日、詩織と俺の両親の所へ行った。


相変わらず息子を何だと思っているのか、俺への挨拶も無しに詩織を大歓迎するお袋を見て。

正直疲れた。


でも、これなら結婚しても仲良く出来そうだ。


「祐太朗、孫を早く抱かせて頂戴。貴方が何時迄も結婚しないから私、おばあちゃんになってしまうわ。咲もいつになるやらわからないのだから、詩織ちゃんと早く籍を入れて孫の顔を見せて頂戴ね。約束よ?」



言いたいことを独りベラベラと話してお袋は満足そうに笑う。


「詩織ちゃんも、ここはあなたのお家なのだから遠慮などしないでね?祐太朗が居なくたって何時だってここに来ていいのよ?」


…孫まご言っといて、その実、詩織の存在が嬉しくてならない母。


その日は朝早くから夕方まで実家に居た。

学生時代の写真などを見て嬉しそうな詩織。

1枚ちょうだいね、と俺が高校生のときの写真を大事そうにしまっていた。



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