君に恋していいですか?
GW初日。



予定も何もなかった俺は、近所にあるガソリンスタンドで洗車をしようとマンションから出た。



駐車場に向かい愛車に乗り込む。



独り者のくせに、スポーツワゴンに乗っている為、母親からは「宝の持ち腐れ」と言われるこの車。




好きで乗ってるんだ、何が悪い。




馴染みのスタンドで洗車を依頼し、更に少し離れた場所にある書店に向かう。



これはいつものコースで、特に予定していたわけでもなく。

平日というかいつもの休日と何ら変わらない行動だ。





本屋で暫く立ち読みする。




洗車が1時間だと言われていたから、その時間だけノンビリと本を読む。




不意に目に入ったのは、書店の前の道を楽しそうに歩くカップル。



彼氏の腕にもたれかかり、笑いながら歩く若い子。



あんな風なことをしたことがない俺には、憧れというより羨ましくてならなかった。



こんな見てくれのせいか、付き合ってきた彼女は何事も俺に頼る。


すがりつくより離れて歩く。


目付きが悪いからか、不機嫌と勘違いされることも多々あった。




あまり喋らないイメージがあるらしく、普通に話すと【イメージが違う】と言われ、別れ話をされたこともあった。




本当の俺は、甘いカフェオレが好きで、スイーツが好きで、恋愛小説を読むのが好きな若干夢見がちな男なんだけどな。


甘えたがりなとこもあるし、頼られるより頼りたいし。

見た目を裏切る乙女なオッさんなんだよな。



自分で言ってて淋しくなってきた。



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