手をつなごう(仮)
第一章
日常生活
「いってきまぁーす」
のろのろとした足取りで、ゆっくりと玄関のドアを開ける。
「いってらっしゃい!」
背後からは、お母さんの威勢のいい声……
「あ、華恋(かれん)!お弁当忘れてるわよー!」
振り返り、「お弁当…と、ポテトチップス…?」
ポテチも一緒に受け取る。
「学校でお友達と一緒に食べなさい!昨日スーパーで安売りしてたのよ」
(友達なんかいないのに…)
心の中では、しぶしぶ、表面では笑顔で受け取った。
「ありがとう!じゃ、いってくるね!」
笑顔で手を振り、学校へと足を向けた。