三刀流―璃音―
1
とある暗い森の中――――――
小柄な黒袴の者が傘を差しながら、のんびりと歩いていた。
歩くたびに揺れる一つに結った黒髪は汚れることを知らない。
ザーザーと大粒の雨がこの者の傘に落下する。
ボタタタタッ
独特のリズムを持つ雨音が傘から聞こえてくる中
この者は首にやんわりと巻きつけた黒布に
顎(あご)から鼻の少し下までをうずめ
静かに目的地の京のある方角を見つめながら
うっすらと微笑んだ―――――――――