ブルースプリングの心臓
マウス トゥ マウス
春に降る雨は、なんだか物悲しい気分になる。
せっかく咲き始めた桜の花びらが散ってしまうのが残念で、少しでも春を感じるために、思わず学校帰りのコンビニで桜餅を衝動買い。
雨宿りがてら、自宅までの途中にあるバス停でひと休みしていたら、となりにいた奴が、とんでもない言葉を放った。
「……は?」
ぽろり、間抜けな声とともに、口に運びかけていた桜餅からあんこのカケラがスカートの上に落ちた。
同じベンチの右隣りに座ってそれを見ていたシンが、「芽衣、あんここぼしてる」と言って、すかさずティッシュでそれを拾う。
その様子を視界に入れながらも、あたしはただただ、シンの顔を凝視することしかできなくて。
「いや、いやいやいや。ちょっと待って、さっきシン、なんて言った?」
「だから。俺、高校卒業したら東京の大学通うつもりだって」
「………」
ぽかん。今度こそ口を半開きにして、あたしは固まる。
その間にも「芽衣、あんこついてる」と言って、シンがあたしの口の横についていたらしいあんこをとり、ペロリとその指をなめた。
せっかく咲き始めた桜の花びらが散ってしまうのが残念で、少しでも春を感じるために、思わず学校帰りのコンビニで桜餅を衝動買い。
雨宿りがてら、自宅までの途中にあるバス停でひと休みしていたら、となりにいた奴が、とんでもない言葉を放った。
「……は?」
ぽろり、間抜けな声とともに、口に運びかけていた桜餅からあんこのカケラがスカートの上に落ちた。
同じベンチの右隣りに座ってそれを見ていたシンが、「芽衣、あんここぼしてる」と言って、すかさずティッシュでそれを拾う。
その様子を視界に入れながらも、あたしはただただ、シンの顔を凝視することしかできなくて。
「いや、いやいやいや。ちょっと待って、さっきシン、なんて言った?」
「だから。俺、高校卒業したら東京の大学通うつもりだって」
「………」
ぽかん。今度こそ口を半開きにして、あたしは固まる。
その間にも「芽衣、あんこついてる」と言って、シンがあたしの口の横についていたらしいあんこをとり、ペロリとその指をなめた。
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