ブルースプリングの心臓
「……本気、なんだ」
「うん」
静かに、だけど意志の強い瞳でまっすぐあたしを見つめながらうなずくシンに、これ以上あたしが何か言えるわけなんてない。
そっか、と小さく呟いて。あたしは手にしたままだった食べかけの桜餅を、ひざの上のパックに戻した。
「そっかあ……シンは、この街を出てっちゃうんだね」
「………」
「……さみしい、なあ……」
話しながら、じわりと目に涙がたまるのがわかって、さらにうつむく。
……シンが、離れてっちゃう。
シンは顔が良くて女の子に人気があるから、きっとすぐに、東京で彼女ができるんだろう。
そしたらきっとあたしのことなんか、忘れちゃって……もうこうやって一緒に、ベンチに座っておしゃべりするなんてことも、できなくなるかもしれない。
「………」
──コトン。
雨の音に混じって、何か軽い音が聞こえて。あたしは何気なく顔をあげた。
それはシンが缶コーヒーを地面に置いた音だとわかって、視線を彼の顔へと移す。
「シン?」
「……そんなに、俺と離れるのがさみしいなら──……」
また彼が、まっすぐな瞳で、あたしを見据えた。
「……芽衣も、一緒の大学に来ればいいだろ」
「へっ?!」
予想もしなかったシンのせりふに、思わず素っ頓狂な声をあげてしまう。
な、なにを言うか、この男は……!
「うん」
静かに、だけど意志の強い瞳でまっすぐあたしを見つめながらうなずくシンに、これ以上あたしが何か言えるわけなんてない。
そっか、と小さく呟いて。あたしは手にしたままだった食べかけの桜餅を、ひざの上のパックに戻した。
「そっかあ……シンは、この街を出てっちゃうんだね」
「………」
「……さみしい、なあ……」
話しながら、じわりと目に涙がたまるのがわかって、さらにうつむく。
……シンが、離れてっちゃう。
シンは顔が良くて女の子に人気があるから、きっとすぐに、東京で彼女ができるんだろう。
そしたらきっとあたしのことなんか、忘れちゃって……もうこうやって一緒に、ベンチに座っておしゃべりするなんてことも、できなくなるかもしれない。
「………」
──コトン。
雨の音に混じって、何か軽い音が聞こえて。あたしは何気なく顔をあげた。
それはシンが缶コーヒーを地面に置いた音だとわかって、視線を彼の顔へと移す。
「シン?」
「……そんなに、俺と離れるのがさみしいなら──……」
また彼が、まっすぐな瞳で、あたしを見据えた。
「……芽衣も、一緒の大学に来ればいいだろ」
「へっ?!」
予想もしなかったシンのせりふに、思わず素っ頓狂な声をあげてしまう。
な、なにを言うか、この男は……!