続・危険なキス
 
「そこまで聞いたんなら、そのあとの言葉も聞いてけ」
「どういうことですか……?」
「俺があのあと美香に言ったのは……」



(お前のことが好きだったよ。

 忘れるために、最低な男に成り下がるくらい……)


(奏人くん……
 じゃあっ……)


(あいつに……紫乃に出逢うまでな)



「え……?」


先生から聞かされる言葉は、あたしが思っていたことと180度違う言葉で、頭の中が真っ白になる。

先生はあたしの髪をかき分けながら、耳元で言葉を続けた。



「お前……俺がお前に出逢って、どれだけ変わったか、ちゃんと分かってねぇだろ」

「そんな、こと……」

「10年……
 美香と別れて10年も……あんな最低な男になってて……
 それをお前が、こんな独占欲の強い男に変えたんだぞ」

「……」



確かに、思い返すと、いつの間にか先生はいつもあたしを想ってくれていて……

つい最近まで、特定の彼女を作らなかったというのが嘘なくらい、誰とも遊ばなくて……。
 
< 104 / 344 >

この作品をシェア

pagetop