続・危険なキス
 
「じゃあ、私は店戻るね。
 紫乃ちゃんがいなくなって、絶対に店内、バタバタしてると思うから」

「はい。残り、頑張ってください」


美香さんを見送って、あたしは帰りの身支度を始めた。


鞄に全部詰めて、女子用控室を出ると……


「おす。お疲れ!」
「…お疲れ様です」


そこには、2つ上の川崎透(カワサキ トオル)先輩がいた。


「紫乃ちゃん、上がり?」
「はい……。川崎さん、今日入ってましたっけ?」


確か今日、川崎さんの姿を一回も見てない気がする。

だから今日はいない日だと思っていたけど……。


「それがさー。昨日、ここに時計置いてきちゃって…。
 だから取りに来たの」

「そうなんですか」


腕を持ち上げ、時計を見せてくる。

うちのお店は、アクセサリー類は全部禁止なので、そういった類のものはよくロッカーに忘れがちだ。
 
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