続・危険なキス
そんな美香さんの対応が意外すぎて、少し圧倒されてしまったが、まだまだお昼時の時間。
店内は混んでいて、いちいちそれに反応するほど暇ではなかった。
あたしは、来るお客さんに一つ一つ対応して、お店を回していった。
夕方近くになる頃、ようやくお茶のピーク時間も過ぎてお客さんも落ち着く。
店内には数人いたけど、美香さんはそっとあたしの隣に並んだ。
「ごめんね。紫乃ちゃん」
周りに聞こえないくらいの、小さな声で謝る美香さん。
急な出来事で、返事をしないで美香さんへと振り返った。
「昨日、変な誤解させちゃったでしょ」
「あ……」
「昨日はね、一昨日奏人くんから借りてたハンカチを返しに来ただけなんだ。
多分、奏人くんなら、紫乃ちゃんを迎えにお店に来そうだな、って思って」
「そう、なんですか……」
言われて思い出した。
確かに一昨日の、美香さんと先生のやりとりの誤解は、先生から聞いたけど、昨日二人がいたことについては何も聞いてない。
だけどそれを聞いて、また一つ安心した。