続・危険なキス
 
「紫乃ちゃんは、過去の湯浅を知らないからっ……」

「知ってますよ」


あたしの返しが予想外だったのか、川崎さんが目を見開いた。


「知ってます……。あたしが出逢ったのは、最低な湯浅先生だったから……。

 それでもあたしは……先生が好き、なんです」


「……」


川崎さんを納得させるための言葉だった。

だけどそれを聞いて、川崎さんの瞳が細められ、ギラッと睨む。



「……その言葉も……
 聞いたことあるよ……」

「え?」

「あいつはまた……」



それ以上先の言葉は吐き出されなかった。



その代わり、怖いくらい睨んでいた瞳が緩められ、同情を込めた瞳をあたしに向ける。




「紫乃ちゃん。

 俺が絶対に守るから」



「え……ちょっ……!」




それだけ言うと、川崎さんはさっさと店内へと戻ってしまった。
 
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