続・危険なキス
 
「雨の日に……タイヤがスリップしたトラックに轢かれて……
 そのまま……」


「……」



あたしは最低だ。

川崎さんのお姉さんが亡くなったことは変わらないし、目の前の絶望に溢れる川崎さんがいるのは確かなのに、
亡くなった原因が、先生を想っての自殺ではないと聞いてほっとしている。


なんて言葉を返したらいいのか分からなくて
悔しそうに俯く川崎さんを見つめることしか出来なかった。



「……姉貴は、さ……
 ハッキリいって、弟の俺から見ても結構どうしようもないやつで……。
 いつも男を振り回してた。

 だけど……ある日突然変わって……。

 今まで何股もしてたと思ったのに、急にたった一人だけの男に絞ってて……


 それが湯浅だったんだ」



川崎さんは、お姉さんのことを話してくれた。
 
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