続・危険なキス
 
「お姉さん……
 先生を好きでいたとき、どんなでした?
 
 笑ってたんじゃないんですか?

 お姉さんのこと…もともとはどうしようもない人って言ってたけど……
 その当時のお姉さんと比べて、先生を好きでいたお姉さんはどうでしたか?」


今、川崎さんの話でしか聞いたことのないお姉さんの存在。

こんな第三者がどうこう言ったって何も伝わらないかもしれない。


でも……



「あたしは……
 確かに先生と想いが通じる前は、苦しくて……辛いこともあったけど……

 でも先生と出逢って、初めて素の自分を出せました。

 いつもクールぶって、言いたいことも言わないで……

 先生がいたから、いろいろな感情が生まれたし、今こんなにも誰かを好きになるということを知ったんです」


「……」



もしも先生と出会わなかったら、確かにあたしは楠木と両想いになっていたかもしれない。


だけどそれは、クールで素直に甘えることも出来ない自分で……
きっと先生を好きになったみたいに、心から欲しいと思えなかった。
 
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