続・危険なキス
「ゆ、湯浅先生……」
振り返った先にいたのは、
この学校の女子すべてが魅了されているであろう、湯浅奏人先生。
3年、物理の先生であり
あたしのクラスの担任であり
そしてもともとは
あたしの家庭教師の先生であった。
「クラスの配布物があるので、取りに来てもらっていいですか?」
「あ…はい……」
あたしは一応学級委員。
だからこういった、クラスでの用事を頼まれることは普通。
だけどそれ以上に、今の状況で湯浅先生に呼び出されるのは非常に怖い。
「えっと……じゃあ……」
「……あ、……うん」
あたしは今もなお、うなだれながらも気まずい顔をしている彼に一言挨拶をすると、慌てて湯浅先生もとへ駆け寄った。
湯浅先生は告白してきた男子にぺこっとお辞儀をすると、先を歩く。
その顔は、微笑を浮かべ、優しい先生そのものだ。
だけど……
あたしには悪魔の微笑みにしか見えない。