続・危険なキス
 
「紫乃」
「……はい?」


恥ずかしさで、再び先生に背を向けていると、後ろから呼びかける声が聞こえた。

だけど振り返るのはまだ恥ずかしくて、返事だけ返す。



「やっぱお前には勝てねぇよ」

「………え…?」



だけどそれを聞いて、振り返った。

そこには、優しく微笑む先生がいる。



「もう絶対……無理だって思ってた。
 弱さに負けて……お前から逃げて……」

「……」



「だけどやっぱり、お前のこと手離したくない。

 自分の手で、幸せにしてやりたいから」



真っ直ぐと見つめ
プロポーズともとれるその言葉を聞いて


思わず言葉を失った。


だけど遅れて、涙がじわりと浮かんでくる。
 
< 215 / 344 >

この作品をシェア

pagetop