続・危険なキス
 
先生は、一瞬驚いた顔をするものの
すぐに優しい笑みを向ける。


「……やっと呼んだか……」

「だって……恥ずかしかった、から……」


あたしだって、ずっと先生のことを名前で呼んでみたかった。


だけど学校の先生である前から
家庭教師の先生として、先生と呼び続けて……


今さら名前で呼ぶなんて、恥ずかしくて出来なかった。



「ずっと……

 奏人、って……呼びたかった……」


「紫乃……」



先生は、そっとあたしの頬に手を重ねる。

頬からじんわりと感じる、先生の体温。

それはすごく温かくて……優しくて……



「卒業、おめでとう」

「……はい」



そして、優しいキスを落とした。
 

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