続・危険なキス
番外編 先生の焦り
「紫乃の髪ってほんと綺麗だよね!
サラサラでうらやましー!」
「そんなこと……。
麻衣子だって、くるくるで可愛いじゃん」
「ううん!紫乃は素で可愛いの!だからきっと飾ったら絶対にもっと可愛くなるんだろうなあ……。
うらやましい!!」
「……」
「あ、紫乃が照れてる!可愛いー!!」
「うるさいなぁ……」
教室で、きんきんに響く声に、透き通るような声。
高くもなく、低くもなく、
だけど澄み渡るような声。
「先生、聞いてる?」
「はい、聞いてますよ」
だけど俺の前にいるのは、きゃぴきゃぴと甲高い声を出してくる女子生徒で。
あの声の持ち主が、この教室で俺の前に現れることはない。
「なあなあ、最近、柊って可愛くなったと思わねぇ?」
「思う、思う!っつか、柊ってもとから、見た目すげぇ美人だもんな」
それと同時に、別の場所から低い声が騒ぎ始めてて……。
「前はツンケンした態度で怖かったけど、こう雰囲気がやわらなくなったというか……
ちょっと卒業まで、俺、本気で狙っちゃおうかな」
そんな会話を、最近よく耳にするようになった。