続・危険なキス
 
「柊さん」
「え?あ、はい」


自分の周りにいる女子生徒を押しやって、紫乃の前に行く。

少しだけ驚いた顔をした紫乃と、あからさまに敵意を向けてくる浜崎麻衣子。
俺、こいつに何かしたっけ?

だけど、そんな浜崎は無視して、紫乃にだけ目を向ける。


「配布物があるので、ちょっといいですか」
「あ、はい」


羨ましそうに、女子が紫乃へと視線を送る。

普通の女子なら、そんな視線に怖気づきそうだが、紫乃はそうじゃない。


本当に気づいてないのか、
それとも気づいているけど気にしてないのか、

全く動じず、俺のあとについてきた。






「あ、れ……先生…?」


職員室に行くと見せかけて、
誰もいなさそうな美術室へとそのまま押し込んだ。


いつもの物理室とは違う場所に、紫乃も戸惑いを見せている。


「どうしたんですか?」

「……」


戸惑う紫乃を、壁に追いやって、ただ上から見下ろしていた。
 
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