続・危険なキス
 
「なん…なんですか……いきなり……」


頬を紅潮させ、息を荒くしながら俺を睨む。

でもそれは、ただの上目づかいにしか見えなくて、このまま理性が崩れそう。


だからといって、ここは美術室。

鍵も閉めてないし、俺の場所でもないから、いつ誰が入ってくるか分からない。


このまま崩したい理性をなんとか保って、紫乃から離れた。



「お前、無防備すぎ」

「何それ……」

「俺以外にも、そんなふうに簡単に連れ込まれちゃうわけ?」

「そんなわけないじゃないですか!」



分かっているのに、わざとそんな意地悪なことを言って、ほんと俺って大人げねぇ……。

このまま怒って美術室を出て行くと思ったけど、紫乃はそんなことはせずに、




「………先生、だけに決まってるじゃないですか……。

 ほかのやつなら、死ぬ気で抵抗します」



そっと俺のシャツを掴み、小さい声でつぶやく紫乃に、今すぐこの場で抱きたくなる。
 
< 233 / 344 >

この作品をシェア

pagetop