続・危険なキス
週末はあっという間にやってきて、
朝からうちの両親もそわそわしていた。
「まさか紫乃におつきあいしてる人がいるなんてねー。
最近、よく遊びに行くようになったのはこういうことだったのね」
お母さんのテンションは、明らかに高い。
お父さんはいつも通りに見えるけど、さっきから新聞を読むページが変わってないし。
なんだかなぁ……。
でもこんな笑える家になったのは、つい最近だった。
あたしが中学までは、とにかくお母さんは教育ママで、必要以上にあたしに勉強を押し付けてた。
それもあって、あたしは勉強をするだけの頭の固い子になり、
笑うことや、遊ぶこともしなくなった。
いわゆるつまらない人間で……。
家でも笑わなくなったあたしを、お母さんはついに自分がしてきた教育方針が間違っていたことに気づき、
高校の途中からは、もう勉強については何も言わなくなった。
ただあたしがグレなければいい。
そんな願いだったのかもしれない。
だけどあたしに、グレるなんて勇気もなく、急に自由になった身でも何か引き起こすことなんて出来なくて…。
根本的な性格を変えることなく、ただ淡々と高校生活を送っていた。
そして高校3年で出逢った、麻衣子と楠木のおかげで
高校生活が少しずつ楽しくなってきて、笑えるようにもなって……。
家族も、ようやく温かみが戻ってきた。